【ポケモンGO】カーブボールは当たりやすい?

2021年5月30日

ポケモンGOに慣れてくると、カーブボールを投げるようになります。そしてカーブボールに慣れてくると、「あれ、普通に投げるよりカーブボールの方が当てやすくない?」と感じる人も多いのではないでしょうか?

カーブボールの方が投げるのが難しそうなのに、当てやすいのはなぜ?どうでもよい疑問について考えました。

カーブボールの軌跡

カーブボールは野球のカーブと同様、モンスターボールに回転を掛けて投げます。回転を掛けたボールにはマグヌス効果による力が働き、ボールの軌跡が曲がります。マグヌス効果による力は、ボールの進行方向とボールの回転軸の両方に垂直な方向に働きます。結果、ボールの軌跡は螺旋を描くようになります。

ボールにはマグヌス効果による力\(\vec{L}\)や、重力\(m\vec{g}\)、抗力\(\vec{D}\)が働きます。これを式で表すと次のようになります。

\(\frac{d\vec{V}}{dt}=\vec{g}+\frac{1}{m}\vec{L}-\frac{1}{m}\vec{D}=\vec{g}+\vec{\Gamma}\times\vec{V}-C_d\vert\vec{V}\vert\vec{V}\)

\(\vec{V}\):ボールの速度ベクトル

\(\vec{\Gamma}\):回転軸の方向と強さを示すベクトル

\(C_d\):抗力係数

この式でモンスターボールの軌跡が計算できます。高さ1.5mの位置から、10m先の高さ0.5mの位置にいるポケモンに向かって、時速40km/hでモンスターボールを投げて当てるとします。\(\vec{\Gamma}\)を変えると、ボールの軌跡が様々に変化します。

無回転のボール\(\vec{\Gamma}=(0,0,0)\)は放物線を描きます。Y軸方向に回転を加えた\(\vec{\Gamma}=(0,0.75,0)\)は、バックスピンのかかった野球のストレートと同じで、無回転のボールより直線的な軌跡で進みます。X軸方向(≒ボールの進行方向)に回転軸をもつ\(\vec{\Gamma}=(0.75,0,0)\)は、野球で縦スライダーとかジャイロボールと言われるもので、ほとんど無回転のボールと同じ軌跡を描き、後の方で少し曲がります。一般にカーブボールと言われるのが、地面に垂直なZ軸方向に回転軸をもつ\(\vec{\Gamma}=(0,0,0.75)\)ですが、横滑りするというより曲がりながら大きく落ちる軌跡となります。無回転のボールよりさらに山なりのボールです。

ゲームでのカーブボールの軌跡を見ると、かなり大きく横滑りするように曲がります。Z軸回転だけのカーブボールではああいう軌跡にはなりません。例えば、\(\vec{\Gamma}=(0.75,0.38,0.75)\)とすると図の赤線のような軌跡となり、ゲームでのボールの印象に近くなります。

なんで、カーブボールは当てやすいの?

カーブボールが当てやすいのは、ストライクになる投げ方がたくさんあるから~。

下図を見てください。同じボールの回転でも、ストライクになる投げ方は何通りもあります。速度\(V\)、方向\(Θ\)、上向きの角度\(φ\)の組み合わせ次第で、速くて小さく曲がるボールでも、大きい落差で大きく曲がるボールでもポケモンに当てることができるのです。

ゲームでは画面をスワイプするだけの簡単操作でボールを投げていますが、実際にボールの軌跡を決めるためにはボールの速さ、投げる方向、仰角、ボールの回転の強さ、回転軸の向きが必要です。よって操作では決まらない要素(例えば仰角とか回転軸の向き)はプログラムで自動的に「いい感じ」に調整してくれているはずです。

プログラムでいい感じに自動調整してくれるといっても、無回転のボールの場合、投げる角度を間違えると絶対あたりません。でも、カーブボールなら?仰角や回転軸の向きにプログラムが介入することで、不自然さを感じさせずにボールがポケモンに当たるようにいくらでも調節できます。

つまりカーブボールとは、(プログラムの介入を感じさせない、自然な感じで)ボールを当てやすくするための仕掛けなのです。誰もが手軽にプレイできるゲームにしたいという、ナイアンティックの心意気を感じさせる仕様です。

カーブボールは難しそうだから投げない、と思っている方もいるかもしれませんが、それは思い違いです。カーブボールの方が(ナイアンティックの愛情分だけ)簡単なのです。恐れずにカーブボールを投げてみることをお勧めします。