プロ野球における格差~ジニ係数と年俸の分布
プロ野球チームのジニ係数
最近は「格差社会」という言葉をよく耳にする。プロ野球の世界も厳しい競争社会だから、年俸の格差が激しい、ような気がする。実際どれくらい激しいのか、チームによって格差の大小に差があるのか、気になったので年俸のデータからジニ係数を計算してみました。
年俸データには育成選手は含まず、外国人助っ人は含みます。12球団全部で計算したジニ係数は約0.65。厚労省の2017年度調査によると日本の所得再分配前ジニ係数が0.5594なので、やっぱりプロ野球の世界は格差が大きそうです(マリーンズを除く)。
また平均年俸が高いチームほどジニ係数が高くなる傾向があります。平均年俸が高いチームは、トップクラスの選手の年俸が高いから平均が上がっているのであって、全体的に年俸が高くなっている訳ではない(下っ端の年俸はどのチームもあまり変わらない)、ということですね。
とはいえプロ野球の世界は皆が年俸400万円~1000万円からスタートして、うまくいったら1億円、2億円貰えたり、逆に1億円プレイヤーがいきなり2,500万円くらいまで落ちる場合もあったりと、階層間の流動性がかなり高いです。なので格差はあるけど格差社会ではありません。厳しいけれど健全な競争社会、というやつですね。
各球団の年俸分布
ついでにカーネル密度推定で、各球団の年俸分布を可視化してみました。
多くの球団で、1億円の手前くらいにコブがあります。レギュラークラスの選手は5,000万円~という暗黙の相場感があって、結果的にこの辺の年俸の選手が増えているのではないでしょうか。チームによっては3億~5億円で一部の超スター選手や、FAで獲得した選手、高額助っ人外国人選手によるコブがあります。
このように意外と凸凹する年俸分布ですが、もしも先入観や相場観を無くして純粋にチームへの貢献度で年俸を計算したら?多分年俸分布の凸凹は減って、もっと滑らかな分布になるはずです。その点我らがカープの年俸分布は凸凹が少なく、美しい形をしています。「カープの鈴木球団本部長の査定は厳しい」という話はよく聞きますが、この分布はその厳しい査定の結果なのでしょう。
とはいえ鈴木誠也の査定はもうちょっと上げてもよい気がします。
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