映画「君たちはどう生きるか」を見た

2023年12月27日

宮崎駿監督の頭の中

…を覗き見した気分になる映画でした。さすがにほんとうに自分の頭ん中をそのまま映画にした訳じゃないんだろうけど、昔見た宮崎映画を思い出させるようなシーンがちょこちょこあったり、舞台設定も監督自身の子供時代に近かったり(主人公は宮崎駿監督の少し年上くらいなのかな、詳しくはしらんけど)して、少なくともそう勘違いされても構わない、と思って作った映画なんだろうな、と思います。

だから(という接続語が適切だと思う)、映画の世界や主人公の心の動きにものすごくリアリティがありました。宮崎駿が最もリアリティをもって描ける舞台や主人公を選んで描いたら結果的にこうなった、ということなのでしょう。

最高のマジック・リアリズム

物語はほとんど主人公の眞人視点で進みます。観客は眞人視点でどんどん映画の世界に引き込まれます。そこで展開するのは怒涛の宮崎駿的マジック・リアリズムです。元々セルアニメとマジック・リアリズムは相性抜群で、実写やCGだとなんかあざとく感じるようなシーンでも、元々が嘘くさいセルアニメならリアル世界とファンタジー世界が実に自然に融合します。それをセルアニメなのにリアリティ抜群の宮崎アニメでやるんだから、そりゃもう最高の一言です。不思議で魅力的な世界にどっぷりハマれます。

とにかく前向きな気持ちになれる

どの登場人物も人間臭いところや汚いところがあり、かつどの登場人物も愛すべき人でした。そして眞人の悩みながらもひたむきに、ちからづよく前に進んでいく姿を見ていると、いつのまにか眞人と自分が重なって、自分まで前向きに強く生きるぞって気分になりました。うん、我ながら単純な人間だなあ。でもとにかく私的には素直に感動できた映画でした。映画の中にちりばめられたなにやら暗示的なアレコレの意味はまったくわかりませんでしたが、そんなこたぁどうでもいいんだよ。

余談ですがこの映画のようなマジック・リアリズムが好きな人なら今敏監督の作品群も好きなのでは?「パーフェクト・ブルー」も最高ですよ。