プロ野球チームの勝率と得点と年俸の関係

2021年5月30日

このサイトで性懲りもなく紹介しているプロ野球POGですが、シーズン前のドラフト会議で8割方勝敗が決まってしまい、シーズン中の挽回が難しい、ドラフトに失敗するとシーズン中の楽しみがなくなるという問題がありました。そこで、負け越している球団には後半戦前に戦力補強費用を出すことをルール化したいと思います。

でも、ここで問題が。戦力補強費用はいくらが妥当なのでしょうか?

補強費用の額を決めるために、チームの勝率と得失点差、得点と選手年俸の関係について考えてみました。

ピタゴラス勝率と得失点差の関係

ピタゴラス勝率とは、チームの得点\(R\)と失点\(RA\)から、チームの勝率を予測できる、というもので、プロ野球POGでも架空チームの勝率をピタゴラス勝率で求めています。ピタゴラス勝率は次式のようになります。

\( WP= \LARGE \frac{R^{1.64}}{R^{1.64}+RA^{1.64}} \LARGE\)

\(WP=\LARGE \frac{1}{1+\phi^{1.64}} \LARGE\)

\(\phi=\LARGE \frac{RA}{R} \LARGE\)

\(WP:ピタゴラス勝率\)

\( R:チームの得点 \)

\( RA:チームの失点 \)

1シーズン143試合、平均得点4.01点/試合として、得失点差と勝率の関係をグラフにすると下図のようになります。

\(\bar{R}:1シーズンの平均得点/失点=573.4点\)

同じ勝率でも、得点も失点も多い攻撃型チームか、得点も失点も少ない守備寄りのチームかによって得失点差は変わりますが、だいたい勝率1割が140点、貯金/借金1が5点に相当します。トップクラスの打者でXR(≒得点価値)は100程度ですが、およそ10勝分(貯金20)に相当する、ということになります。

得点と選手年俸の関係

野手のXRと年俸の関係を調べてみます。

成績と年俸には、明確な相関は見えません。一軍入りから3年くらいは成績の割に年俸は高くならない(すくなくともカープはそう)とか、ベテランの功労者は成績の割に年俸高いとか、高額年俸選手だけど怪我で活躍できなかったとか、色々あるので相関が弱いのも当然か。

という訳で、得点と年俸の関係式のようなものを出すのは難しい。全体の平均で考えるしかなさそうです。上のグラフの野手の年俸総額が214億4千万円、XRの合計が5370.7なので、チームとしては1得点あたり年俸約400万円が必要、ということになります。

チームを立て直すための補強費用はいくら必要?

以上の検討をまとめると以下の通りです。

  • 勝率UPのために必要な得点:勝率上昇分×1,400(点)
  • 所望の得点を得るために必要な年俸の概算:得点×400(万円)
  • →勝率UPに必要な年俸増分:勝率上昇分×56(億円)

例えば勝率4割(59勝84敗借金25)のチームを勝率5割まで引き上げようとする場合、現有戦力に加えて0.1×56=5億6千万円分の補強が必要、となります。主力級の選手を2~3人獲得するイメージですね。適当な推論ですが、結構妥当な感じです。

プロ野球POGのルール変更

選択ルールとして、以下を追加します。

  • 後期戦開始前にドラフトを行う。前期戦勝率5割以下の球団は勝率に応じた追加の補強費用が与えられる。補強費用は次式で求める。
  • 補強費用(万円)=(勝率-0.5)×56(億円)

結構な補償額ですが、過去の経験上これでも逆転の可能性はかなり低いはず。あと、逆転できるかどうかは参加チーム数によるところも大きいです。8チーム以上参加しているようなケースでは、そもそも有力な選手が残っていないのでどんなに予算があっても十分な補強ができないことも。5~6チームくらいでリーグ戦をするのがバランス的に一番よさそうです。