【プロ野球POG】変わるものと変わらないもの

2021年11月25日

誰も頼んじゃいないのにこのウェブサイトで紹介し続けているプロ野球POG、セイバーメトリクス(風)でチーム成績を計算していますが、1試合平均の打席数など成績計算に必要な統計量には2013-2017年公式記録の平均値を使ってきました。しかしフライボール革命や大胆な守備シフトなど野球の世界も日進月歩、例えば三振数が増えて本塁打数が減るとか、ここ数年でプレー傾向に変化が出てるかもしれません。ゲームで使う統計量も見直した方がいいかも・・・という訳で、ここ数年でいろんな野球の数値が変わったのか?変わらなかったのか?調べてみました。

調べ方

今回使ったデータは2005-2021年のNPB公式記録です。なぜこの期間かというと日本野球機構のHPで見れるのが2005年までだからです。打席数や補殺数、三振数、本塁打数など、1試合あたりの数値を調べたいのですが、このコロナ禍で2020,2021年は延長戦が無かった、という影響を考え、単純に1試合あたりではなく9イニングあたりの平均値を求めます(1試合あたりでも9イニングあたりでも実質ほとんど差はないですが、一応)。

平均得点R,打席数PA,補殺数AO

まずは全体概要として、9イニング当たりの平均得点とプレー回数(打席数、補殺数)を見てみましょう。1試合あたりではなく9イニングあたりにしているので、刺殺数(=27回)と投球イニング数は固定です。

得点R

得点Rには特に傾向はみられません。違反球問題(「加藤球」)があった2011,2012年を除くと、例年4点~4.5点あたりで推移しています。不思議なのはセ、パで上下変動のパターンが良く似ていること(特に2016年以降)。全体の1/8くらいが交流戦とはいえちょっと似すぎじゃない?という気がします。何か審判の傾向や公式球の仕様などリーグ共通の要素が影響している?

打席数PA

補殺数

打席数は変化なし、補殺数は近年少し下がっている?ようにも見えますが、気のせいレベルです。

得点、打席数、補殺数に大きな変化はなく、試合全体のプレー回数、言わば試合を形作る「枠」はここ数年では変わっていないといえそうです。

本塁打数HR,四球数BB,三振数SO,犠打数SH

続いて一つ一つのプレーの傾向、1打席あたりの結果に傾向の変化があったか見てみましょう。

本塁打数HR

2011,2012年は違反球の影響で本塁打数が下がっていますが、その他の年は9イニングあたり0.8-1.0本で推移しており特に傾向は見られません。

四球数BB

四球数は少し増加傾向があるようにも見えますが、誤差の範囲です。2018以降は申告敬遠が始まったのでその影響で僅かですが増えたと思われます。

三振数

三振数は2013年以降増加傾向にあるように見えますが、あまり大きな変化ではありません。

犠打数

犠打数は2010年をピークに減少傾向?セイバーメトリクス的に見て無死一塁からのバントは損だと言われて久しいが、そろそろ浸透してきたか?という話だと良いのですが、2005年のレベルに戻っただけなので・・・。

犠飛数

犠飛数は、年度での傾向は見られませんが、パ・リーグの方がセ・リーグより多いというリーグ間の違いがみられました。DH有無の違いか、本拠地球場の違いか、パの選手は犠飛を打ち上げるのが上手なのか?

出塁率重視で四球数が増えたり、フライボール革命で本塁打数と三振数が増えるといったセイバーメトリクスらしい変化があるかと期待しましたが、あまり明確な傾向は見えませんでした。

盗塁数SB,盗塁刺数CS

盗塁に関して年毎の傾向より明らかなのは、盗塁数、盗塁刺数ともにパ・リーグの方が多いというリーグ差です。今回は調べていないのですが、リーグ差というより特定の球団で盗塁が多い/少ないという傾向があるのかも?

セーブ数SV,ホールド数HLD

セーブ数は横ばい。最大でも僅差での勝ち試合の数と同数なので(今回は正確には9イニングあたりの回数ですが)回数が頭打ちになるのも当然。

今回の調査で最も明確な傾向が見られたのがホールド数です。阪神でジェフ、藤川、久保田のJFKが活躍したのが2005年ごろ、浅尾拓也、山口鉄也が活躍したのが2011年ごろですが、現在はその頃よりも2割くらい多くなっています。セットアッパーの価値は年々上昇しているようです。

プロ野球POGの係数はどう変える?

プロ野球POGのルールに関係する平均値には、平均得点(REMの計算に使用)、平均打席数(必要打席数の計算に使用)、平均補殺数(必要レンジファクターの計算に使用)、平均セーブ数、平均ホールド数(必要ホールドポイントの計算に使用)があります。これらの数値の変化傾向を5年間の移動平均で見てみました。元々プロ野球POGで使用していた2013-2017年の平均値からのずれをパーセントで表すと次のようになります。

他はほぼ横ばいですが、ホールド数だけは15%くらい変わっています。これを受けて来年からの係数を下表のように変えることにしました。

項目 従来ルール 2022年~
1試合平均得点 4.01 4.08
1試合平均打席数 4.23 4.26
必要刺殺+補殺数 37.65 37.82
平均セーブ数 0.24 0.24
平均ホールド数 0.66 0.71
平均RP 0.69 0.72

数値には2013-2021年の平均を使いました。はっきり言って大きな差はありません。まあ単なるコダワリですな。